「新規事業の成功確率はものすごく低い」
とよく言われますが、いっぽうで
「新規事業の成功確率はそんなに低くない」
という意見もあります。
どちらが正しいのでしょうか。
じつは、どちらも正しいと言えます。
新規事業の成功確率はものすごく低いのですが、でも、そんなに低くないのです。
矛盾しているように聞こえますね。
どういうことでしょうか?
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よく
「新規事業の成功確率は1パーセントに満たない」
と言われます。
いわゆる
「千三つ(センミツ)」
というやつです。
実際、とあるVC(ベンチャーキャピタル)に話を聞いてみたところ、多くのベンチャー企業と面談をしたなかで、
- 投資を検討したケース→3パーセント
- 投資を実行したケース→1パーセント
- 無事にEXIT(※)したケース→0.3パーセント
ということでした。
「千三つ」というのはあながち的外れではないということですね。
つまり、
「新規事業の成功確率はものすごく低い」
ということです。
(※)EXIT:ベンチャーキャピタルが投資先の株式を無事に売却し、利益を手にすること(=手仕舞いすること)
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しかし、それほど低い確率なのになぜ新規事業はなくならないのか。
なぜ新規事業にチャレンジする人が消えてしまわないのか。
その理由は、成功したときのリターンがとても大きいから。
すなわち「確率」は低くても「期待値」は低くないからです。
経済全体の平均成長率が年率4パーセントだと仮定した場合、あなたの新規事業が1年後に成功したとすると、新規事業に投下したあなたの資金や努力は(理論上のことですけど)なんと679倍になって返ってきます。
理論上の話ですが新規事業に300回失敗したとしても301回目に成功すれば元が取れる勘定になります。
数字が分からないにしても、事業をする人はこのことを感覚的に理解している。
だから新規事業にチャレンジする人がなくならないのです。
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「千三つ」とされる新規事業の世界ですが、実際のところこの数字を低いと評するかどうかは考え方しだいとも言えます。
たとえば、この「千三つ」という確率は、宅配ピザが配布しているチラシの反応率よりも、じつは高い。
カード会社があなたに送ってくる入会案内のDMよりも確率が高いのです。
つまり、見方によっては「千三つ」はさほど悪い数字ではないのかもしれません。
そしてもう1つ。
新規事業の最初のダッシュ(ロケットスタート)がうまくいかなかったとしても、そこで素早く起業当初のビジネスモデルを修正して何度か試行錯誤をすれば、失敗確率を下げることができます。
これをバスケットボールの「ピボット」にちなんで「ピボット経営」と言います。
ビジネスモデルにおけるピボットは、行き当たりばったりに行うのではなく
- ビジネスモデルを洗練させる
- ビジネスモデルの原石を美しく磨きあげる
といった感覚で行うのが良いですね。
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以上、
「新規事業の成功確率はものすごく低い」
「新規事業の成功確率はそんなに低くない」
どちらの主張も間違いではない、という話でした。
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